くしゃみや鼻水だけではない!?
花粉症によるいろいろな症状と、

主な治療方法を解説

今や、調査によっては「日本人の二人に一人がなっている」とも言われる花粉症ですが、
毎年辛い思いをしている方も多いと思います。
花粉症の基礎知識から、あまり知られていない花粉症が引き起こす意外な症状、
新しい治療方法や日常生活でのちょっとした工夫など、
いろいろな観点から花粉症について解説します。

今年も花粉のシーズンがやってきました。そもそも花粉は、いつぐらいから飛び始めるのでしょうか。

種類にもよりますが、一般に花粉の飛散は例年、2月の初めごろから始まります。ただ、去年(2025年)は早く、東京では1月8日にスギ花粉の飛散開始が確認されています。

多くの方が苦しまれるスギ花粉は2月の中旬以降、3月ごろまで、スギ花粉のあとはヒノキが3月後半から4月いっぱい、ゴールデンウィークまで続きます。実はスギとヒノキの花粉はタンパク質の構造が似ているんです。そのため、スギとヒノキの両方にアレルギーが出る方が多く、その場合は2月、3月、4月とつらい時期が3カ月程度続くと考えられます。

改めて、花粉症の主な症状を教えてください。また、一般的にはくしゃみや鼻水が想像されますが、あまり知られていない花粉症が引き起こす症状などはありますか。

花粉症の典型的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、それから目のかゆみなどが挙げられます。また、気道は鼻から喉を経て気管支までつながっているので、症状が重い方はのどの違和感やせき、気管支炎を起こす方もいます。

最近よく報告があるのは、花粉による皮膚炎ですね。例えば顔や首など、冬から春先でも露出している肌の部分に花粉が付着して、そこの部分の皮膚が炎症を起こして赤くなってしまうんです。

さらには、あまり知られていないところでいうと、花粉と関係する食物アレルギーもあります。口腔アレルギー症候群といって、花粉とタンパク質の構造が似ている一部の食べ物を食べて症状が出るアレルギーです。

例えば、スギ花粉症の方はトマト、シラカバ花粉症の方はモモやリンゴ、サクランボなどバラ科の果物、イネ科の花粉はメロンやスイカなどのウリ科の食べ物など、それらを食べたときに口の中やのどがかゆくなる場合は口腔アレルギー症候群かもしれません。ひどいとアナフィラキシーを起こしてしまう方もいるので、注意が必要です。

いろいろな種類の花粉が花粉症の原因となりますが、自分が何に対してアレルギー反応を起こすのか、調べることは可能ですか。

はい。血液検査で簡単に調べることができます。花粉によって飛散する時期や、お伝えしたような注意する必要がある食べ物も異なるため、心配な方は自分の花粉症のアレルゲンを知っておくとよいですね。また、例えば春先にくしゃみや鼻水などの症状が出て花粉症だと思っていたら、寒暖差によって体調を崩していた、というケースも考えられます。調べるアレルゲンの数などによって費用は異なりますので、検査を希望する場合は医療機関に相談をしてみてください。

花粉症だと分かった場合、治療としてはどのような選択肢があるのでしょうか。
最近はいろいろな種類の治療があると聞くのですが、どれを選ぶべきか迷ってしまう人も多いかと思います。

まず、花粉症の初期療法としては、症状がひどくなる前の軽いうちから薬を飲むこと、それから点鼻薬や点眼薬を使うのが一般的ですね。

症状が重い場合は、花粉によるアレルギー反応の元を抑える「ゾレア」という薬を注射する治療方法もあります。スギ花粉の血液検査で陽性の結果が出ていることや、既存の治療をしても効果が十分でないことなど、一定の条件はありますが保険も適用になる治療です。

薬を飲んでも点鼻薬や点眼薬を使ってもなかなかよくならない、日常生活を送れないくらい辛い、という方には適した治療ですが、基本的な治療よりは費用がかかってしまうのが難点です。体重や投与スケジュールなどによってひと月にかかる費用が異なるので、興味がある方は医師に相談してみるとよいと思います。

それから、近年新しく「舌下免疫療法」という画期的な治療方法も登場しました。舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質を舌の下に繰り返し投与することで、体をアレルゲンに慣らして症状を和らげる治療法です。

1日1回、舌の下にお薬を入れてなめる治療で、だいたい3年から5年間継続が必要です。治療期間が長いので、最初は負担に感じるかもしれませんが、1日1回舌の下に入れてなめるだけですので、それほど負担は大きくない治療方法だと思います。患者さんによってはスギ花粉の時期でも薬を飲まなくても問題なく過ごせるようになる方もいらっしゃいますね。

ただし、舌下免疫療法は、花粉が飛ばない時期でなければ開始することができません。スギ花粉が飛んでいる時期に、今目の前のつらい症状を抑えたいという方は別の治療になるので、その点ご注意ください。

いろいろな治療方法があり、費用や治療の内容もさまざまなんですね。

医療機関を受診しなくても、今は薬局でいろいろな花粉症のお薬を購入することが可能なので、比較的症状が軽く、忙しくて時間がなかなか取れないという方は、自分でお薬を購入する方法もありますね。ただし、医療機関の場合はお伝えしたようないろいろな治療を医師と相談しながら選択できますし、ケースによっては同じ飲み薬でも成分の異なるものを複数処方してもらうことなども可能なので、症状が重い場合は受診することをお勧めします。

最後に、花粉症の症状を和らげるために、日常生活で気を付けることはありますか?

きる限り体に花粉が入らないようにすることが大切です。基礎的なことになりますが、外出するときにはマスクをしてメガネをかけるだけでも花粉をいくらかカットすることができます。最近は、花粉対策として眼のふちをふさぐゴーグルのようなグッズなどもあるので、そうしたものを使うのもいいと思います。

それから、時間帯やその日の天気などによっても花粉の量が異なるので、花粉情報や花粉予報なども参考になりますね。

換気は難しいところですが、花粉の問題だけではなく感染症対策の重要性を考えると、窓を閉めっぱなしで換気を全くしないというのはおすすめができません。例えば窓を全開にせず数センチだけ開けて空気の通り道を作り、そのうえでレースのカーテンを引くなどして花粉の流入を減らすなど、工夫していただければと思います。

今や花粉症は、政府も対策に乗り出す社会課題とも言える問題です。生活の質を落とさないためにも、予防や対策を個々が心がけ、つらいときには無理をせず医療機関を受診しましょう。