既に流行入り!
今年のインフルエンザの傾向は?
ワクチンは1回で大丈夫?
よくある疑問に医師が回答
全国各地で、インフルエンザの患者数が増えています。
東京では昨年よりも1ヵ月も早くインフルエンザの流行入りが発表されました。
今回は、インフルエンザについて、お話したいと思います。

- 今年はインフルエンザが流行し始めるのが早いですね。
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今年のインフルエンザは例年よりもやや早いですね。私のクリニックでも、いつもの年であれば10月末ぐらいからインフルエンザの患者さんがぽつぽつと増え始めるのですが、今年は9月末ぐらいからインフルエンザの患者さんが出始めている状況です。東京では昨年より1ヵ月早く流行入りし、続いて全国の各地で流行入りが発表されています。今シーズンは全国的にインフルエンザの流行が早まっていると言えるのではないでしょうか。
- どうして今年はこんなに早いのか、考えられる原因はありますか?
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いろいろと推測はできますが、はっきりとした原因は分かりません。今年は暑い日が続き、9月や10月に入ってもしばらく半袖で過ごすような日が続きました。例えばエアコンをかけていたために窓を閉め切って換気が充分でなかった、ということが理由の一つとして考えられます。さらには、大阪万博などで、外国人の方がたくさんいらっしゃったことから、海外からインフルエンザウイルスが多く持ち込まれたというのも要因の1つかもしれません。
ただ、猛暑はここ数年続いていますし、多くの外国人観光客が来日しているのもコロナ以前を考えると今年に限った話ではありません。なぜ今年の流行が早いのか、明確な理由は依然として不明です。
- たしかに。他に考えられる理由はありますか?
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1つ考えられるのは、気候の問題です。日本はご存じのように四季のある温帯に位置しています。一般的に、温帯地域のインフルエンザの流行は主に冬です。ところが、亜熱帯や熱帯地域では流行のパターンが異なっています。国や地域によりますが、年間を通じて発生が見られる地域や、複数回流行するところもあります。つまり、亜熱帯、熱帯では1年を通じて、小流行を繰り返すことがあるんですね。ここ最近日本でも、冬に限らずかなり長い期間、インフルエンザを発症している患者さんがたくさんいます。日本の気候が変化しているという話をよく聞きますが、この気候変動によって流行が早まる、つまりは、今までと違った流行のパターンになるという可能性もあるのではないかと思います。
- 流行がいつもより早く始まっているとなると、ワクチンも早めに打った方が良いのかな?と気になります。
たまに、「早く接種すると、もっとも流行している時に効果が切れてしまうため、1シーズンに2回打つ必要がある」
という説を耳にしたことがあるのですが、本当ですか? -
ワクチン接種は基本的には1シーズンに一回で大丈夫だと思います。例年は、12月末から1月、2月が流行のピークとなるので、10月末から12月上旬までの間に接種するのがよいと考えていましたが、今年は流行が早まる傾向にあるので、もう少し早く打ってもよいかと思います。
ワクチンの効果が続くのは、接種から大体5か月間です。ワクチンを打って抗体が上がるのに大体2週間かかり、それから約5か月間は有効なので、例えば10月中旬から下旬に接種した場合は、3月中ごろまで効果が続きます。ただし、2〜3ヶ月間は免疫機能の高い状態が続きますが、徐々にその効果は弱まっていきます。流行時期をほぼカバーできるのではないかと推測されますが、基礎疾患がある方などは医師とご相談ください。
また、インフルエンザのウイルスは1種類ではありません。今シーズンのワクチンは三価、つまり三種類のウイルス株に対応していますが、ワクチンを打っても発症率がゼロになるわけではないので、1シーズンに2回インフルエンザになる方、中には3回かかる方もいます。
ちなみに現在、2歳から18歳の方は鼻にスプレーするタイプの点鼻のワクチンも選ぶことができます。注射が苦手、という小さなお子さんはぜひご検討ください。

- 熱などの症状が出て、インフルエンザかな?と思った際、検査をするのはいつぐらいがよいのでしょうか。
「インフルエンザになってすぐは検査をしても結果が陰性になってしまう」という説もよく聞きます。 -
抗原検査は、ウイルスに反応して結果が出る仕組みです。そのため、インフルエンザになっていても発症してすぐだとウイルスの量が少ないため検査結果が出ず、陰性になってしまうことがあります。医療機関だけではなく薬局でも市販の抗原キットが販売されていますが、抗原キットの場合は発症から12時間以上、できれば、24時間以上経ってから検査を行うのが望ましいでしょう。
- お薬はどうでしょうか。
症状が出てすぐ飲んだ方がよいのか、検査と同じくしばらく待ってから飲んだ方がよいのか、
どちらでしょうか。 -
ややこしいですが、インフルエンザの抗ウイルス薬は、インフルエンザにかかってから48時間以内に飲むのが有効だとされています。
インフルエンザの抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を防ぐために飲んでいただくものです。つまり、発病してから48時間以上たってウイルスが増え切ってしまうと、飲んでも意味がなくなってしまいます。
検査結果を見て診断するためには12時間から24時間後の検査が必要で、さらに発病してから48時間までにお薬を飲むのが有効なので、インフルエンザだとわかったら早めに薬を入手しておく必要がありますね。
- そうすると、インフルエンザかな?と思った場合、
症状が出てから何時間後くらいに医療機関へ行くのがよいのでしょうか。 -
例えば朝、発熱していた場合に、すぐに午前中に行くのはおすすめできないですね。私の場合、朝ご連絡をいただいたときは夕方に来院するようにご案内し、検査をしています。診療終了間際に発熱した場合は、翌日の朝まで待った方がよいと思います。
- インフルエンザは、毎年多くの方がかかる病気なので、軽く考えてしまいがちです。
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インフルエンザでも、例えばインフルエンザ脳症などの恐ろしい合併症を引き起こすことがあるので、注意が必要です。インフルエンザは小さなお子さんに多いと言われていますが、高齢者や基礎疾患のある方も、肺炎を引き起こすなど重症化することがあります。実際に命を落としてしまうケースもある、注意が必要な感染症の一つではあります。
一方、若い健康な方は、インフルエンザに罹患しても自分自身の免疫で数日間で自然と回復するケースが多いので、例えば仮に抗ウイルス薬を飲むことができなくても、それほど恐れることはないと思います。ただし、みなさんご存知の通り、大人でも39度、40度の熱が出るなど、非常につらい症状がでるのもインフルエンザの特徴です。発症を予防し重症化を防ぐためにも、ワクチンの接種をご検討いただければと思います。
